Line up 作品情報

サターン・ボウリング

2025年秋、渋谷ユーロスペースほかにて全国ロードショー

監督

パトリシア・マズィ

脚本

イヴ・トマ、パトリシア・マズィ

キャスト

アリエ・ワルトアルテ 、アシル・レジアニ 、イーラン・リュカ 、レイラ・ミューズ

音楽

Wyatt E.

撮影

シモン・ボーフィス

受賞歴

★ロカルノ国際映画際 2022 金獅子賞 ノミネート
★「カイエ・デュ・シネマ」 2022年 ベストテン 第 6 位

ソフト情報

配信先

ウェブサイト

イントロダクション

父の遺産は呪われたボウリング場
正反対の兄弟の周囲で発生する若い女性を狙った連続殺人事件… 
現代に巣食う悪魔を炙り出す 衝撃のネオ・ノワール

パトリシア・マズィによる長編5作目『サターン・ボウリング』は父親の罪によって取り返しのつかない傷を負った2人の異母兄弟の奇妙な物語だ。
『ポール・サンチェスが帰ってきた!』 (2018)と同じく、男性の悪に焦点を当てたイヴ・トマの脚本は「父の亡霊」という超自然的な要素を含みつつ、恐怖やトラウマ、ネグレクトがいかに救いようのない不幸のスパイラルを形成するかを隠喩的に描いている。また、シモン・ボーフィス(『Knife+Heart』、2018)による陰鬱で美しいカメラ、俳優の凄まじい演技によって強化されたグランジなネオ・ノワールの雰囲気は、マズィがアートハウス・カルトの地位におさまらないことを示している。ニコラス・レイ、パク・チャヌク、大島渚などにオマージュを捧げながら、マズィは古典的なフィルムノワールの方法を踏襲し、かつてない衝撃とともに現代的な暴力の問題を炙り出した。

“この映画を監督する上でのチャレンジの1つが暴力をどう扱うかということでした。観客に見せるべきか?
それとも他の多くの映画がそうであるように見せないほうが正しいのか? 悩んだ末、見せないという選択肢だと“暴力はどう生まれるのか?”という問題から逃げることになるのでは、と考えました。そして逃げないことにしました。勇気を持たないといけません。
この映画で描こうとしたのは現代の悲劇、今日の世界に根ざした“フィルムノワール”でした。『サターン・ボウリング』は世界の悪に対する解決策を何も示しませんし、何も解決しません。それどころか暴力や災難、権力、そして男女の関係についてさまざまな疑問を投げかけます。これらの疑問が開かれたまま、率直に問われる形にするため、この映画をはっきりしたものにしたい、無駄をそぎ落としてプリミティブなものにしたいと思いました。“
――パトリシア・マズィ

ストーリー

アルマン(アシル・レジアニ)は野獣のように街を徘徊し、時々働くクラブ「ル・カルゴ」の外にある他人の車に寝泊まりしていた。ある日、警察官である異母兄弟のギヨーム(アリエ・ワルトアルテ)が父親の死を告げに現れる。彼らの父親はボウリングが趣味の熱心な大物ハンターで、ボウリング場「サターン・ボウリング」をギヨームに残していた。疎遠になっていた弟と和解するため、ギヨームはアルマンにボウリング場を経営するチャンスを与え、父のアパートの隣に引っ越すことを提案する。自分を捨てた父親への憎しみから距離を置いていたアルマンだったが、彼が店を仕切るようになるや否やすぐに問題が発生する。父の狩猟仲間の大所帯にボーリング場に頻繁に出入りするのをやめるよう要求したのだ。一方、猟師たちは、動物愛護活動家のスアン(Y・ラン・ルーカス)にメディアで挑発され、暴力事件になりかけたところをギヨームによって阻止される。偶然に出会ったギヨームとスアンがロマンスを育む最中、地元の墓地から複数の死体が発見され、若い女性を狙った連続殺人が進行中だとわかるが......。

2022年 | フランス、ベルギー | 114 分 | カラー | 原題:SATURN BOWLING | 字幕翻訳:橋本裕充 | 配給・宣伝:サンリスフィルム

© Ex Nihilo - Les Films du fleuve - 2021