「全世界に知ってほしい。パキスタン人は芸術家でテロリストじゃないことを」
豊かな歴史を持つパキスタンの都市ラホール。過激なイスラーム原理主義の影響で音楽文化は衰退し、伝統音楽家たちは転職を余儀なくされた。このままでは優れたパキスタン音楽が消えてしまう!危機感をつのらせた彼らは再起をかけて畑違いのジャズに挑戦し世界に打って出た!本作は、彼らが結成したサッチャル・ジャズ・アンサンブルの超絶演奏が世界中を虜にするまでの紆余曲折を追うドキュメンタリー。昔気質で職人肌のおじさんたちが、異なるフィールドで大いに戸惑いながら、必死に職人魂で乗り越えていく、その真剣な姿に誰もがおかしみと愛しさを感じ、応援したくなる。
監督は、今年2度目となるアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞したパキスタン人女性シャルミーン・ウベード=チナーイらが務め、音楽への愛に溢れる彼らの人生と圧巻の演奏をカメラに収めた。
彼らが挑戦したのはジャズのスタンダードナンバーだった。
伝統楽器を駆使してカバーした「テイク・ファイヴ」のプロモーション映像はまたたく間に世界をかけめぐり、100万を超えるアクセスを記録した。原曲を世界的にヒットさせたデイヴ・ブルーベックも「最も面白く他に類を見ない“テイク・ファイヴ”の録音!」と絶賛。
さらに彼らの演奏技術と発想の斬新さに舌を巻いた、天才トランペット奏者のウィントン・マルサリスは、彼らとセッションすべく、ニューヨークへ招待するという奇跡のような展開が起こる。しかし、本場ジャズの厳しい洗礼が彼らを待ち受けていた。この試練を乗り越えて本番を迎えることができるのか?!
「ロリウッド」と呼ばれるパキスタン映画産業の中心都市、ラホール。
数々の映画が作られるとともに、伝統楽器を使った映画音楽も数多く生み出された。
しかし、70年代後半のイスラーム化の波、そして90年代に台頭し始めたタリバンによる歌舞音曲の破壊によって映画界は衰退。音楽家たちはウエイターやリクシャの運転手など、転職を余儀なくされる。そんな中、細々と演奏活動を続けてきた音楽家たちが伝統音楽の継承・再生のためについに立ち上がった。きっかけはイギリスで成功したラホール出身の実業家イッザト・マジードが私財を投じて音楽スタジオを作り、往年の音楽職人たちを集めて楽団“サッチャル・ジャズ・アンサンブル”(編成によって名義は変化する)を結成したことだった。彼らはシタールやタブラなどの古典楽器を用いた、世界で類を見ないジャズのスタンダードナンバーを生み出し、伝統音楽の底力を見せつけるとともに、インターネットを駆使し世界に打って出たのだ。名曲「テイク・ファイヴ」をカバーしたプロモーションビデオを動画サイトに投稿したところ、世界中でセンセーションを巻き起こし、100万以上のアクセスを記録した。さらにその映像をイギリスBBCが取り上げたことをきっかけに、伝説のジャズミュージシャン、ウィントン・マルサリスが、世界最高峰のビッグバンドと共演させるべく、彼らをニューヨークへと招待することとなる。
故郷ラホールからニューヨークへ…。そこで彼らは、音楽と真剣に向き合える自由、芸術が息づく街、音楽を愛する聴衆たちと出会うことで、音楽家である誇りを取り戻していく。パキスタンで文化が縮小し続けるなか、居場所を失った音楽職人たちと彼らの音楽”ラホール・ジャズ”の本当の旅がはじまる。
Sachal Jazz Ensemble
イスラーム化により廃れてしまったパキスタンの伝統音楽を再生し、継承させようと立ち上がったイッザト・マジードが、2005 年にラホールの中心部に建てた最先端のレコーディングスタジオ「サッチャル・スタジオ」を拠点とするオーケストラ。スタジオ名はイスラーム神秘主義のスーフィー詩人サッチャル・サルマストから名付けられている。
メンバーは約60人で、これまで30枚以上の多様なジャンルのアルバムを録音している。初期にはパキスタンの古典音楽や民族音楽のアルバムをリリースしていたが、2008年頃にマジードがパキスタン伝統音楽と西洋のジャズの融合を思いつき、2011年にデイヴ・ブルーベックの名曲「テイク・ファイヴ」のカバーを発表。
YouTubeに投稿されたサッチャル版「テイク・ファイヴ」のプロモーションビデオはその独創的な解釈と圧倒的な演奏力が受け、瞬く間に世界中に知れ渡った。同曲を収録し、アビーロード・スタジオのエンジニアを招いて制作されたアルバム「サッチャル・ジャズ」はアメリカ、イギリス、カナダでiTunesのワールド・アルバム・チャート1位を獲得、その他の国でも10位以内にチャートインしている。続く2013年にはアルバム「ジャズ・アンド・オール・ザット」をリリースし前作に続き世界的な評価を集めた。今年2016年には本作のコンパニオン・アルバムとなる「ソング・オブ・ラホール」をリリース予定(US盤発売日5月20日、日本盤発売日7月27日)。なおグループ名としてはサッチャル・スタジオ・オーケストラ、サッチャル・アンサンブルなど、編成によりいくつか呼称があるが、本作ではサッチャル・ジャズ・アンサンブルで統一している。
Wynton Marsalis and The Jazz At Lincoln Center Orchestra
ウィントン・マルサリス率いるジャズ・オーケストラ。NYの総合芸術施設リンカーン・センターの一部門であるジャズ・アット・リンカーン・センターが拠点である。音楽遺産としてのジャズを保存、成長させ、異文化との画期的なコラボレーションによってその可能性を広げることに貢献している。今日のジャズ界を担う15人の一流の演奏家によって編成されている。ウィントン・マルサリスはグラミー賞とピューリッツァー賞受賞歴をもつ現代でもっとも著名なトランペット奏者の一人であり、ジャズ・アット・リンカーン・センターの芸術監督を務めている。
監督、プロデューサー
1978年11月12日パキスタン、カラチ生まれ。人権や女性問題を主題としたドキュメンタリーを多く手がけるドキュメンタリー監督、活動家。これまで映像を通じて難民や、サウジアラビアからシリア、また東ティモールからフィリピンなど周縁化された地域社会に暮らす人々の声を表面化させることで、その社会に重要な変化をもたらしてきた。それらの短編ドキュメンタリーの数々は世界中の賞に輝き、HBO、CNN、PBS、Channel 4、CBE、Arte、SBSなど、世界の主要放送局で放映されている。「Pakistan’s Taliban Generation」(2009、TV)で国際エミー賞時事問題部門を受賞。『Saving Face』(2012)でアカデミー賞短編ドキュメンタリー部門、アブダビ映画祭観客賞受賞、2013年ニュース&ドキュメンタリー・エミー賞ドキュメンタリー部門、撮影部門受賞。『A Girl in the River: The Price of Forgiveness』(2015)で2度目のアカデミー賞短編ドキュメンタリー部門を受賞した。 2012年にはタイム誌で“世界でもっとも影響力のある100人”のひとりに選出され、同年パキスタン政府は彼女の芸術文化への貢献に対して、栄誉賞であるヒラーレ・イムティアーズ勲章を授与。2013年にはドキュメンタリー映画界での彼女の業績に対してカナダ政府からエリザベス2世ダイアモンド・ジュビリー・メダルが、世界経済フォーラムの年次総会であるダボス会議ではクリスタル賞が授与された。また2014年にはニューヨークのアジア・ソサエティがアジアと世界の発展に貢献した人物12人に贈るアジア・ゲーム・チェンジャー賞を受賞している。『ソング・オブ・ラホール』は初の長編ドキュメンタリー作品である。
私は祖父からパキスタンの昔の音楽のことを聞いて育ちました。祖父はコンサートで演奏する楽団や、日曜の夜に街角で演奏する音楽家の話をよくしてくれたのです。私が育った1980年代頃には、それはすべて過去のものとなっていました。祖父の話を聞いて、その時代に生まれていたらどんなだったのだろうとよく考えたものです。
2012年ごろ、ラホールの音楽家たちが一丸となり、パキスタンの伝統楽器を使った音楽をレコーディングしているという無謀とも思えるような話を聞いた時、それが私の伝えたい物語だと気づきました。その時は彼らの旅がどこへたどりつくのかなんて想像もつかず、ただ彼らの声や音楽を残したいと思いました。
ラホールからNYのジャズ・アット・リンカーン・センターへ、音楽家たちは彼らの使命を見つけました。ウィントン・マルサリスとのコンサートは満席となり、そこで演奏する彼らを撮りながら、あの夜、私は祖父が語った私たちの過去の話を思い出し、思いがけずその時代の一端を経験できたのです。
監督、プロデューサー
1974年7月26日アメリカ、シアトル生まれ。ニューヨーク・ブルックリン在住のドキュメンタリー映画監督兼カメラマン。スタンフォード大学でドキュメンタリー映画制作の修士号、ペンシルバニア大学の学士を取得している。共同プロデューサーと撮影を務めた『The Last Campaign of Governor Booth Gardner』(2009)がアカデミー賞にノミネートされHBOで放映された。その他『Gerhard Richter Painting』(2011)、『Beyond the Brick: A Lego Brickumentary』(2014)、『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』(2011)、『Fight Church』(2014)、などの作品に撮影で参加している。『ソング・オブ・ラホール』は監督デビュー作である。
20代前半でレス・ブランクの映画に出会ってから、音楽遺産や地域文化に興味がありました。ですが『ソング・オブ・ラホール』の仕事を始めるまで、パキスタンに対する私の知識は、ヌスラト・ファテー・アリー・ハーンのカッワーリー(宗教音楽)と西洋のメディアが伝える浅い見方を到底こえるものではありませんでした。2013年4月にシャルミーン・ウベード=チナーイにこのプロジェクトに参加しないかと電話があり、数週間後にはカラチそしてラホールへと向かう飛行機に乗っていました。
私がそこで見つけたものは、消えゆく文化遺産への扉でした。ムガール帝国が興ると寛容なムスリム体制との共生関係のもとに、ラホールでは何世紀にもわたり芸術が栄えました。1970年代初頭になりイスラーム教を強化しようとする原理主義者が台頭してくるとともに、現代パキスタンの社会経済は破綻し、古典音楽家の生活も次第にひっ迫してゆきました。多くの音楽家の生計を支えていたラホールの映画産業は死に絶えました。世界的に有名なラホールの踊り子も、もはや踊りません。今では罪深いものとみなされている多くの伝統美術が、周辺へと追いやられました。
私が『ソング・オブ・ラホール』に願うことは2つあります。1つはこの映画が、西洋の観客に対してパキスタン人へのより深い理解を提示すること。もう1つはパキスタンの音楽や芸術に対するサポートを活気づける手助けとなることです。なぜなら、家族のよりよい未来と生活に意味と美しさをあたえる音楽遺産を守るために、闘うことを選んだ勇気ある人々の物語が、この映画の大きなテーマの本質だからです。
9人のイラストレーターが描く ソング・オブ・ラホール の世界
期間:8月13日(土)~上映期間中
会場:ユーロスペース ロビー
参加イラストレーター:あずみ虫、網中いづる、上路ナオ子、そで山かほ子、タムラフキコ、古谷充子、目黒雅也、山崎杉夫、山下アキ
ラヒ パンジャービー・キッチン
パキスタン・パンジャーブの家庭料理とカレーが楽しめる!ラホール出身のシェフ、ラヒームさんが腕をふるいます。
★映画の半券持参で飲食費から10%割引!(ディナーに限ります。)
★お店のレシート(2016年7月~)で映画当日一般料金より300円引き(ユーロスペース、角川シネマ有楽町のみ)
★特別メニュー、ラホール名物「ムルグチャナセット」をディナーでご提供
期間:8月13日(土)~上映期間中 ※夏休み等の臨時休業日はお問い合わせください。
ラヒ パンジャービー・キッチン
東京都杉並区西荻南3-15-17 2F TEL:03-3331-7860
ランチ 12時~15時(土日祝のみ)/ディナー 18時~22時半L.O./月曜定休
下記店舗にて『ソング・オブ・ラホール』フェア開催。店頭で映画の前売券を購入の方には非売品プレスシートをプレゼント!
期間:7月20日(水)~上映期間中
対象店舗:新宿ジャズ館 / JazzTOKYO / 渋谷JAZZ/RARE GROOVE館 / 吉祥寺ジャズ館 / 横浜関内ジャズ館 / 新宿ラテン・ブラジル館 / diskunion WEB SHOP
映画『ソング・オブ・ラホール』に登場するサッチャル・ジャズ・アンサンブルの秘蔵映像を見ながら、彼らやパキスタン音楽の魅力を語り尽くします。
【出演】
サラーム海上(音楽評論家・DJ・中東料理研究家)
村山和之(中央大学・立教大学兼任講師)
ヨシダダイキチ(シタール奏者)
日時:8月3日(水) OPEN 18:30 / START 19:30
会場:LOFT9 Shibuya
渋谷区円山町1-5 KINOHAUS1F tel.03-5784-1239
http://www.loft-prj.co.jp/loft9/
料金:前売¥2500 / 当日¥2800(飲食代別)※お土産付
前売券はローソンチケットで7/2(土)発売(Lコード:32936)
トークイベント参加の方に、にしき食品の本格的なレトルトカレー(マトンパンジャビー)1パックをプレゼント!
映画に感銘を受けたミュージシャンたちが大集結。サッチャルと豪華アーティストたちの協演は必聴です!
参加アーティスト:ウィントン・マルサリス、スーザン・テデスキ&デレク・トラックス、ビラル、ベッカ・スティーヴンス、メリル・ストリープ、ショーン・レノン、マデリン・ペルー、チボ・マット、ジム・ジェイムス、ネルス・クライン、ラ・マリソウル、セウ・ジョルジ
CD発売、映画公開の波にのり、9月にサッチャル・ジャズ・アンサンブル初来日、しかも無料公演が決定!
クラウドファンディングのプラットフォーム「MotionGallery」では来日公演を成功させるための支援者を緊急募集しています。支援者限定プライベートコンサートご招待がある応援プランもあり!
劇場にてお買い求めのお客様にパキスタン国民食ビリヤニのレシピ付
「ビリヤニスパイスミックス」をプレゼント!
(提供:日本ビリヤニ協会 /○印の劇場のみ、数量限定)
通販での購入はこちらから
北海道・東北 | 北海道 | シアターキノ | 011-231-9355 | 上映終了 | |
---|---|---|---|---|---|
山形県 | フォーラム山形 | 023-632-3220 | 上映終了 | ||
宮城県 | チネ・ラヴィータ | 022-728-7866 | 上映終了 | ||
関東甲信越 | 東京都 | ユーロスペース | 03-3461-0211 | 上映終了 | ○ |
東京都 | 角川シネマ有楽町 | 03-6268-0015 | 上映終了 | ○ | |
東京都 | ユジク阿佐ヶ谷 | 03-5327-3725 | 上映終了 | ||
東京都 | 下高井戸シネマ | 03-3328-1008 | 上映終了 | ||
神奈川県 | シネマ・ジャック&ペティ | 045-243-9800 | 上映終了 | ||
神奈川県 | 川崎市アートセンター | 044-955-0107 | 上映終了 | ||
神奈川県 | CINEMA AMIGO | 046-873-5643 | 上映終了 | ||
神奈川県 | アミューあつぎ映画.comシネマ | 046-206-4541 | 上映終了 | ||
埼玉県 | 川越スカラ座 | 049-223-0733 | 5月13日? | ||
群馬県 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | 上映終了 | ||
新潟県 | 高田世界館 | 025-520-7442 | 上映終了 | ||
新潟県 | シネ・ウィンド | 025-243-5530 | 上映終了 | ||
長野県 | 松本CINEMAセレクト | 0263-98-4928 | 上映終了 | ||
中部 | 静岡県 | CINEMA e_RA | 053-489-5539 | 上映終了 | |
愛知県 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | 上映終了 | ||
石川県 | シネモンド | 076-220-5007 | 上映終了 | ||
富山県 | ほとり座 | 上映終了 | |||
関西 | 大阪府 | 第七藝術劇場 | 06-6302-2073 | 上映終了 | ○ |
京都府 | 京都シネマ | 075-353-4723 | 上映終了 | ||
兵庫県 | 神戸アートビレッジセンター | 078-512-550 | 上映終了 | ||
兵庫県 | 豊岡劇場 | 0796-34-6256 | 上映終了 | ||
兵庫県 | 宝塚シネ・ピピア | 0797-87-3565 | 上映終了 | ||
中国・四国 | 岡山県 | シネマクレール | 086-231-0019 | 上映終了 | |
山口県 | 山口情報芸術センター | 083-901-2222 | 上映終了 | ||
九州・沖縄 | 大分県 | 大分シネマ5 | 097-536-4512 | 上映終了 | |
鹿児島県 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | 上映終了 | ||
沖縄県 | 桜坂劇場 | 098-860-9555 | 近日公開 |